未曾有の危機は去り、カイルロッドは金色のひかりとなり、メディーナの腹には一人の男の子の命が宿り。
未来に希望を残して、流れる様にエンドを結んだカイルロッドシリーズ最終巻「思い出はいつまでも」。言うも及ばず大好きであります。


が、しかし。
それでもやっぱりリトルカイルロッドはリトルであって。
怒ったり笑ったり、時に泣いたり。絶望に震えたり。掌の小ささを噛み締めたり。それでも前を見据える事を、忘れなかったり、のカイルロッド王子とは違うですよね。いや無茶な事を言っているのはわかってるんですが。

カイルロッド王子に色んなものを与えてやりたい。
平和になった世界を見せてやりたい。感じさせてやりたい。生きさせて、やりたい。

ただそんな思いに駆られて背中を押されて、やり始めた捏造はなしです。
どうやって、とかどうしてとかは本当に置いてきぼりで恐縮なのですが、書きたい処だけです。

―――


 この世は全て泡沫の夢、と。
言葉を吐いたのは確かに自分だったと、記憶はしている。
長い放浪の中、風を受けて、雲を率いて。立ち止まらない変わらない足取りの中、誰に何時、そう告げたのは覚えてなくとも。口にしたその時の、その思いだけは今も変わらずこの胸に、今もある。

時の流れも人の生も、起こるべくして起こした、奇跡でさえ。
それも夢だというのならば、ならば、まるで構わないとイルダーナフは思う。
またこの地に足を踏み出せた事実が夢なら、今自分の目の前にある景色でさえ、夢なのだ。
・・・夢だろうと何だろうと、構わない。
悔いるのでも哀しむのでもなく、ただ決して忘れない。忘れられない。イルダーナフの記憶の中にずっといる、銀の髪の、青い眼をした青年が大地に立っている。
そうして変わらない笑顔を向けたその夢を、泡が弾けるその瞬間まで、イルダーナフは構わないと笑ってやれるの、だ。


―――


未曾有の危機から数えて二年。
放浪中のイルダーナフが、あの最後の戦いの場、荒野に足を踏み入れる所から。
それではどうぞ、宜しければ。 ≫1:ファーストネーム












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