「なぁなぁ今日、雪降るって話」
ジュビロユースの練習の時、ボールを弄びながら嬉しそうに言ってた圭介の言葉。
その2時間後、練習を終えて家に着いた時にはもうちらほらと風花が舞っていた。



雪降ったら明日の選抜練習、休みかな。
電車止まったら来れない奴とか居るだろうしなぁ。
俺らはいいけど、へーちゃん家とか意外と田舎だしね。・・・久しぶりに逢えるかと、思ったのにねぇ。
・・・しょうがないだろ。
や、しょうがないけどさ!でも何かねぇ。楽しみなんだけどな、雪。
―――平馬とか、色んな奴に電話しそうだよな。そういう奴、あいつ。
うんそうそう!雪が降った雪が降ったってね!・・・そだね、逢えなくても、どうせ電話してくるかな。うん。・・・いいかな。


そんな話をしてたのは少し前。
携帯なんて、幾ら今時の中学生でも全員が全員持っている程普及していない。そんな金あったらサッカー用具、買っちゃうし。そんなだし。
月に一回か二回の逢える機会、惜しくないなんて嘘になる。
それでも思い浮かぶ表情、楽しげな声、一面の白銀にきっと喜んでいる彼の姿。
なる程、単純な事なんだと思う。

好きだなんてそんな感情、些細な事なんだと思う。



「―――録音件数ハ六件デス。」
冷蔵庫を開け、牛乳を一気飲み。それから一つしか無い、勿論家族共有の留守電のボタンを押した。録音内容ヲ消去シテ下サイ、そんな機械音はそろそろ耳障りだ。
何気無く押した、それこそ何の気負いも無かった。
笑い声が部屋一面、そしてそれこそ延々に響くなんて、まるで思いもしなかった。



「・・・平馬ってもしかして友達居ない?」
まるで同じ着信番号、掛け直した第一声は自分で言うのも何だかだけど、あんまりかもとは一応思った。
雪ユキ繰り返していた、愛すべき友人は「だって一番に言いたかったんだもん」なんてそれでも応えていないご様子で、とても笑った。笑い合えた。

外はもう真っ白、それは例年より遥かに早い初雪の日。





@つたえてもいいかい。


好きなひとに、一番に。
ちーへーはこんな風に恥ずかしいことをさらりとやってのけれちゃうからとても楽しい。









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