「行きたい場所があるんだ」



突然の圭介の言葉に歩きながら平馬も千裕も、首を傾げた。
「何ソレ突然。何処」
「夏休み終わったばっかっつうのに、早速旅行の相談か?」
間髪いれないそれぞれのお答えに違う違う、と圭介は首を振る。
顔は笑ったまま。例えて言うなら、それは企みが浮かんだ小学生の顔。笑ったまま。平馬の肩を抱く。歩きながら。
「そんなんじゃなくて。別にへーちゃんとちーちゃんの邪魔なんてして馬に蹴られる気なんてまるで無いから安心しな。どうよその辺最近。ねー、ちーちゃん優しい?」
自分で言っといて何だけどセクハラ親父みたいだ。
言われて真っ赤になってる平馬本人じゃなくて東海が誇る大型DFに本気の目をして追いかけられて、圭介も思わず駆け出す。真っ直ぐの道を、前へ前へ。後ろから置いてくなー!と叫ぶ平馬の声。緩まない足。
風が、風景が過ぎていく。



「遠い所。今の俺らじゃ、まだまだ。先の」
「走ってもいけない所?」
「行けない所。青いユニホーム着てじゃなきゃ、意味無い所」
「・・・・・ふ。終わっちゃったけど、言ってみれば。アテネ。とか、な」



三人並んで、笑い顔。けれど足は止まる事無く、掛けていく。
道はまだまだ飽きる事無く、真っ直ぐ続いていた。
ふと、どこまで行けるのか。試してみたくなった。


「何時か、行こうな」


勿論な。
一緒にね。
同時に相槌打たれてその言葉は圭介の耳に正確に届きはしなかったけれど。
向けられた満面の笑顔二人分が何だか気恥ずかしくて、走るぞ!とわざと大声を空に向かって、出した。

どこまで続いているのかな。と一瞬聞こうと思ったけれど。
どこまでも一緒に駆けてくれる事を判っていたので、あえて何も言わないで走ってみた。

きっと4年後も僕等は何も言わないで、その場所に向かって走っている。








@みらいにっき。


文句なしにそれだけの実力があって。走り続ける彼らに、幸運を。











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