初めてサッカーの試合に出させてもらった。
初めてサッカーの試合で負けた。


普段九州男児を頑なに主張するあの人は、それでも泣くな。とは言わなかった。




シンプルな青と白が空一面に広がっていたのは午前中、降水確率はそれでも半分以上を差していて。
訴えられる手前の最近の外れ具合も今日はどうやら面目立った様子。ポツポツ肌に当たる水滴も、俯いていたからまるでまるで。気にならなかった。
「・・・負けんの、俺バスケでもロクに無かったけん」
雨は段々と強さを増して、ついさっきまで自分達が駆けていたグラウンドが湿り気を帯びて。荒れ果てたその場が癒されていくかの様にも見えた。
寒さすら感じる、冷えた空気、雨の匂い、隣に感じる確かな気配。
雨は段々と強さを増して。
それでも彼はただ、隣に居てくれて。
「・・・こんな悔しいもんなん、知らんで」
俯いてる自分の横に、帽子を深く被って居てくれて。
「・・・カズさん、カズさん。俺・・・」


自分のミスで失点して、入れられて。それで負けて。
一番悔しいのに、それでも横に居てくれて。


「悔しいか」


背を、ぽん、と叩き。
自分の帽子を頭にひょい、と置いてやり。
見てないけど、きっとにっ、と笑って。


「なら、強うなる。次は」


ポケットから食み出している、折り畳み。
素知らぬ顔で、空を仰いで止まんなぁ、と一言だけ。



はいっ、て返事がしたいのに。

雨が邪魔して上手く言葉にならなかった。




何でだろう、サッカー止められない。そう、思った。








@はじまりは、そんな。大きくも無いあなたの掌のあたたかさ。


九州も好きです。
誰もしらないけどうっかり本出しちゃったくらい、好きです。








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