ガッコの友達共と遊んで帰ってきて、部屋に入ると見慣れないものが机の上に置いてあった。



携帯を常備している中学生的には四角い白いハガキなんて年一回、お正月しかほとんど目にしない。ロクに貯金もしないし、あんまり郵政省とは縁が無いもんだと思ってポストを覗く習慣も身に付いて無かったのは自分。ダイレクトメール以外を受け取った事なんてこのところ無かったから、そんなハガキは正直、驚いた。
「なになに」
汚い字と対照的な綺麗なイラスト。簡潔な言葉、残暑見舞い申し上げます。
かもめーるの柄ってそういや朝顔以外もあったのね。
桜庭の学校は市立だし、仲の良い友達は電話一本で今すぐ来いと呼び出せる距離だ。手紙なんて授業中だって回さない。
(・・・・どんな顔して書いたんだ、あいつ)
差出人はそんな同じ中学生、軽く噴出しながら考えた。
もしかしたら学校の課題とかなのかもしれないし、(小学校の時、桜庭にもあった。担任の先生にそんなハガキを出すのを強制させたくせに、先生からは帰ってこなかった。何かムカつく)あんな顔して意外と筆マメなのかもしれないし。色んな事を、考えた。
でも最後の最後に、こんなちっちゃな四角い紙に真面目な顔して向かってるその姿が浮かんで、可笑しくて可笑しくて、一頻り笑った。
フィールドの端から端まで駆け抜ける、あのドリブル。
色素の薄い髪揺らして、良く笑う、顔。
ハガキの隅に書いてあった、小さな言葉。意外と雑な性格は知っている、それがそのまま字に出ていて。
今度、遊ぼう。
そんな汚い文字の一言と宛名の住所、それだけが直筆のそのハガキを手の中でくるくると回した。
おめー手ぇ抜きすぎだべ。なんて毒吐きながら、それでも何となく、楽しげに。回していた。

ガッコの友達共には帰ったらまた電話するとか言っといたけど、手にある携帯電話のメモリは違う相手。部屋にあった予想外の一枚のハガキ。それが悪かったんだよ、と明日にでも、言おう。そう思った。




「もしもし」
繋がる時間、第一声は何にしようかなんて考えてたけど、あまり考えつかなかった。
しょうがないから肩を落として、決めた一言。神妙な声を出してやろうと、うんうんと練習してたらとたんに繋がる音、もしもし?軽快な何時もの彼の声。


残暑お見舞い申し上げます。
電話越しの上原の声は一瞬止まった後、何だよ不精してんなよ。なんて言って笑っていた。






@きっかけ


暑中見舞い企画、さゆたんに媚をうろう企画。(あ、正直に言っちゃった・・・!)
うちの東海の送り先が荒野さんならさくうえはさゆたん。






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