一人で自転車で知らない公園まで来てみました。
これっていわゆるアレですか。
冒険って奴ですか何だよ俺ってば勇者かよってイエーイドラクエ―。
そんなこんなで我が物顔で。
順番無視してブランコ独り占めしてたりしたら、突然軌道を塞がれた。
思わず空を飛びそうになったけど、流石の勇者も装備も無しには不可能です。
何とかたたらを踏むだけに留まらせて。
踏ん張りながら現れたそれに声掛けた。
「コラそこの猫」
「・・・・・・・・・は?」
「邪魔すんなっつの」
大きな猫目が更に見開かれる。
二本足で立つそれが珍しくて、ちょっと自転車のカゴに入れてもって帰ろうかな、なんて。思ってみたりしたけど、脹れたほっぺといかにも挑戦的な目つきが気に食わないのも本当な処。
ふんぞり返って腰に手当てて。お得意のポーズ。
「文句あるか」
そう言ってから気が付いた。
こいつ俺より背が高い、何だ猫のくせにナマイキな。
でもちょっとおどおどした態度とか猫目とかいかにも良い子ちゃんな顔つきとか猫目(しつこい)とか。あ、こいつでも多分。
「お前、いくつ?」
「・・・・・・・・・1年生」
「お前質問に答えてない。いっけど」
やっぱり年下だ。ふふん(何だか突然偉そうになる)(何時も)
ブランコにまた座ってギーコギ―コ。鳴らしたらまた目の前のこいつは嫌な顔をする。
首を傾げた。
「どしたんだ。お前」
「・・・・・・・・・・ブランコ」
「何だよそれがどうしたよ」
口元がまたぎゅっと結ばれる。知ってる、コレは泣きそうな顔の寸前。大きな目が揺れるけど。でも。
「泣くなよ」
「・・・・・・・・・・・・・泣かないもん男だもん」
「―――男なら、素直によ。言ってみろよ判んねぇよ」
ホントは、ホントは。判ってるけど。ぐっと我慢で飲み込んで。
ちょっとだけ口許を吊り上げた。
「・・・乗りたいってさ」
一度ぎぃっ、と大きく揺らして。
今度は自分の意志で飛び降りて、跳ねたブランコをそのまま捕まえて、ん、と。
「ほら」
「・・・・・・・え」
「乗れよ」
大きな目が揺れて、それから。
見せられたその満面の笑顔にちょっとだけ、ちょっとだけ。
悩殺だ。
「・・・うりゃ!二人乗り!」
「ギゃー――!やだやだ怖―――!」
「あっはっはは、思いっきりいくぞ――――!」
何だろう、実を言うと俺は人見知り。
初めて会った奴と遊ぶ処か口聞く事すらしないってのに。
・・・なんだろう、コイツ。
この俺がこんなに笑っちゃったりしてて、まったくいいんですかね。
気付いたら夕焼け、お空はカーカーカラスさん。
愛車にまたがってじゃぁな。と勇者スマイル(自己申告)をちょっとしょんぼりしている猫少年に向けてやる。
「お前ちゃんともっとはっきり言えよ。優しい俺だから一緒に遊んだりしたんだぞ」
俺って本当に人見知りよ?(本当)
「でも・・・」
「はっきり口。開け!」
「いひゃ―――――!」
ほっぺを引っ張ったら目尻に浮かぶ涙、でも全然哀しそうじゃない。さっきよりいいや。
ご満悦な気分でもう一度、ちゃんと言えよ。と威張って言ったら。頷いた。
「うん言う。」
「良し」
「つかあんたが俺が待ってたブランコ、横取りしたんだよ」
カラスが鳴いた。
「じゃ、帰るわ」
チャリを慌てて漕いで、すぐ前に迫った坂、下る前にふと気付いて振り向いたり。
結構大事だったと思ったのに。勇者として失格だ!(元からだよ)
大声で、怒鳴った。
「お前―――!名前っ、何て――――のっ―――――!」
聞こえないかなと思った。
聞こえてたらいいなと思った。
心配してる内に自分より大きな声が飛んできて。驚いて坂をチャリは下っていた。俺の意思、まるで無視。
「まーたーね―――――!」
お前はっきり言うより大事な事あるよ。
人の話聞けよ。
思ったけどそれは言わずに、とにかく精一杯の声を振り絞って、言った。
俺の名前。
あきらって結構気に入ってるんだ、覚えてろよ!
聞こえないだろうけど頑張って、言った。
坂はぐんぐんと下がっていって、チャリのスピードは最高潮。
何時の間にやら見慣れた風景、冒険はこれで終わり。さぁセーブしに家に帰ろう。そう思ってペダルに足を置いて。勇者は漕ぐ。
カラスがカーと、また鳴いた。
そんでまた明日、今度は友達になりにこようとちょっと思った。
勇者のお供をずっとさせようと、勝手に思った。
一緒に居たいと思った初めての、だ。
@であいはとつぜんに。ぐうぜんに。
再録ですいません!もってるひとすいません!
(でも多分S邑さんくらいだと思うの!)(名指すな)(すいませんアゲイン)
長々と某なつきのを引っ張ったものですが、こんなこんなで小学生話でした。
続きます。(えー)
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