暗い部屋で一人寝込んでいれば、自然と気は滅入る。
熱に浮かされて、見たのは悪い夢だ。覚えてはいないけど。



目尻をふわり、指で撫ぜられ、身を捩る。くすぐったいよと、開いたばかりの目を細めた。
明かりは点けていないけれど、感触は肌は雄弁だ。触れ返せば彼はすぐに身を退いた。起こしたかと思ったのだろう、重ねて笑って安心を、させる。事にする。
「・・・・・酷いかお」
タマネギを刻むのが、苦手なのだといつも言う。
パソコンで痛めつけた目は弱いし、洗っても落ちない独特の匂いも好きじゃない。茶色い皮を剥くのが、精一杯の彼の譲歩だ。煮込み料理は、大抵の場合、自分が作る。
「無理、しないで・・・いいのに」
目が覚めて鼻についた、それは自分の好物の。
弱った時何時も気付けば嗅いでいた、炒めてコンソメで煮込んだスープ。風邪の定番で、身体を心底から温めて、治すのが何時もだった。それは確か、いつか、話した。
作ってくれたんだ、と言って手を差し伸べる。
引き寄せないと、はっきりと見えないカーテンを引いた、暗い部屋。静かな静かな。
触れると彼は温かかった。
タマネギの匂いが、ふんわりと、した。
赤い目をして少し、目の下を腫れさせて。心配げに、彼は自分を覗き込む。



「ごめんね」



泣かないで。
そう言おうとして、安心させようとして、はにかめば何かが溢れた。

「ありがとう・・・」



熱が出て一人で寝てて寂しくて、辛かったけれど。
貴方の泣き顔が、嬉しかった。







@はなをすすってごめん。


泣き顔ブームの際に。笠井限定。(三上なんて泣かせたって全然おもしろくない)






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