銃を構えながら口にした。その自分の何気なさといったら、無かった。
「俺、女性の前では煙草吸わないポリシーですけど」
 咥えた煙草の端を噛み締めて、目を細める。込めたのは、込められたのは弾ではなく極限まで張り詰められた集中だった。標準は当たり前だが合っている。確認をしてからゆるりと、けれど正確な手腕で口を開きながら弾を詰め替える。
 彼女を見遣る事はしないけれど、言葉を聴いてくれているのは肌で判った。ある程度極まった空気の中は時に言葉が要らなくなるのは便利で、そして気安い。
 息を一つ吐く。突入は時間の問題だ。言葉も、吐く。
「…でも俺、中尉の前なら吸えんですよね」
 安全装置を下ろす音がガチャリと聞こえる。
 それとあら、とこの緊迫感に酷く不似合いな、軽やかな鈴の音の声も同時に。
 無意識に身体が前のめりになった、駆け出す前のその動作の理由を、自分は知らない。
「奇遇ね少尉。私も貴方になら」
 ライフルの発砲、その合図一つ。
 耳にする前に駆け出した。だから彼女の言葉は後回しで、でも聞かなくても判る、そんな気がしたから背を向けて多分。駆け出せた。

「…躊躇い無く、銃口を向けられる」


 飛び出すのは自分、躾けるのは中尉、だから怒るのは大佐の役目なのだろう。理には適っている。
 確かに理由は人それぞれだろうけれど、私を置いてきぼりにするな!というのは上司としてどうなのだろうかと、帰ってきてから少しだけ考えた。大人しく守られてて下さいと言っても、当たり前だが聞きはしないので、現場での作戦会議から彼を省く事に二人で勝手に、目配せして決めた。





@あなたなら、あなたのためなら。


ハボックとリザ嬢はまるで恋愛感情の無い、でも誰も入り込めない深さの間柄であってほしいのです。
でもハボックの片恋とかにも萌えるのです。(前言ほうりだし)



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