折角の誕生日、それなのに部屋に戻ってきて以来、近藤はベットに転がってふてている。
「・・・別にいいよ。いいけどよ。ダシにでも何でもしろってんだー。きー」
「あ、そのCD笠井から?さすが三上と一緒に選んだだけあるな、近ちゃんそれ欲しがってたじゃん。良かったなー」
「・・・うん、良かった。嬉しかったけど。けど。でも、なぁ」
自室の様に寛いでいた中西を捕まえてぶつぶつ一人づいてる近藤はらしくなく後ろ向きだった。普段の持ち前のポジティブさなら、まぁ役に立ったならそれでいいとか言いそうなものなのに、と怪訝に思ってそう問えば、掛け布団を抱きしめながら近藤はごろんと顔を向ける。
「・・・いいんだけど。別に」
「ふぅん」
「―――いいんだけど、たまには。年に一回くらいは、何か、中心っぽくってもいいじゃん」
ふてくされ。
またごろんと身体を転がした近藤の膨れた顔は座っている中西からはまるで見えない。まるで見えないけど、噴出しそうになるのを読んでる本を顔に押し付けて、中西は必死で堪える。あまり怒らないタイプを怒らせて、いい事無いのは了解済みだ。判っていても、溢れる笑いは消える事は、決して無いのが一苦労。呼吸が苦しい。
「・・・っ、そういや、プレゼント何もらったん?み、みせてー」
「・・・・・・・・・・・何で笑ってるのかが腑に落ちないけど、どうぞ。机の上」
「はいよ」
さっき目にした笠井からの今月の新譜、辰巳からの真新しいシューズ入れ。そういえば昨日届いた実家からの宅急便にも綺麗な包み紙が見えたっけ。
ぼんやりと後輩達の名前がつらつら並ぶ連名状を眺めつつ、何の力も込めずにぼそり。口にする。
「俺も何か、ものあげれば良かったなぁ」
「・・・でも奢ってくれたべ。練習後の買い食い。食いきれなかったぜ?」
「や、高田とか、大森とかもそうしてたし。何かさぁ」
何となく、という奴だ。別にそこに拘りなんてそんな無い。
例えば、近藤が未だ布団の中に居るその訳や、何をあげても喜んでくれるだろうなぁ、なんてそんな想像。
弾む声に背中を押されていれば、現実の声は嫌にはっきりと中西の耳に響く。
「充分だよ。さんきゅ」
布団を引っぺがしてやろうかと思ったけど、やめといた。その理由も、多分。何となくだった。
代わりの軽口はその名に違わず軽快に、中西の口から漏れていく。
「俺の誕生日もよろしくね」
「・・・はいはい」
「俺、近ちゃんと違って友達少ないから、期待してるから」


例えば、それは思うこと。
三上が笠井と連れ立って、自分の誕生日プレゼントを選んでる姿。
廊下、擦れ違い様、ぽんぽんと掛けられる優しい声たち。
良いダシが出すにもそれなりのものでなきゃ、そんな事を彼は気付いてないんだろうなぁと、思う。


「おうよ!期待してろよ!」
「・・・さんきゅ。楽しみ」
「俺、プレゼント選ぶのも好きなんだー」
ひょこり、覗かせた顔はもういつも通りの近藤だった。押し殺した笑いはくすくすと、何だよ、と怪訝そうな声。掛けられて、目尻を拭いながら中西は妙に生真面目な声を出す。

「誕生日おめでとう」

虚を突かれてぽかんとした表情、それでもすぐにはにかんで「ありがとう」と彼は笑った。
そんな処が、そんな処と。彼はきっと知らないのだろ。



@大事な、だいじな。


近藤だいすきですよー!
えーとちょっと判りにくいんだけど、三又某のところの誕生日トップの漫画にひっかけてました。
近ちゃんの誕生日プレゼント笠井がはい、と渡してわーごめん俺笠井の時みんなと共同だったのに、と言えばいいんですよと笠井がえへり笑って。
三上せんぱいとそれ選びに、こないだ出かけたんです。

・・・俺はダシかよ!
っていう。(判んないよ)(でもそんな彼が好きだよ)


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