大森裕希は流れを読める少年だ。



武蔵森レギュラー一軍、鉄壁と名高いDFラインをコントロールする、センターバック。
特に背が大きい訳でもなく体格も普通。当たりも強い訳でもないし、浮き球が苦手でカウンターの処理よりどちらかというとインターセプトの方がまだやり良いといった風。
けれど例えばヨセの速さ。機敏な動きが与える縦からのプレッシャー。熱い訳でも冷めてる訳でもない、普通の顔してボールをカットし、空気を変える。
個性派揃いの武蔵森、あたりまえの顔してそこに居れるのも、それはそれは、よく考えて見れば凄い事。



「だから何でそんな強情なんだてめーは!」
「それはこっちの台詞ですよいっつもいっつも!」
例えば月に一回は恒例めいた、三上と笠井の他愛も無い口論。
溜息ついて肩を落として眺める渋沢に、むやみに煽ってたまに二人に揃って怒られる藤代で。
間に入って心配し、無駄に口を挟んでは両方から睨まれるのが要領の悪い辰巳だったりする。
適当な処で空気を読んで、収めてしまうのは結局近藤や中西、意地っ張りでかたくなな二人を良く知る者になるのだけれど。


「―――まぁ、二人共」


繰り返して繰り返して、その内に息も絶え絶えになって。三上も笠井も、はぁ、と一瞬気を抜くその瞬間。
普通の顔でにっこり笑う、それが何時もの彼だ。
「お茶でも飲めば?喉渇いたでしょ」
その一息、多分大森自身も意識もしてない絶妙のその間が、大抵の場合適当な処に、なったりする。



ストッパー。
多分それはそんな大袈裟なものでなくて。
何処にでもある、重い扉の下にでもありそうな何気無さで在り来たりで。

とても重宝する、無くてはならない。大森裕希。





@それは二つ名で。


一人ずつピックアップ〜。高田と仲良し、大森。
まみやがお気に入り。三年生、




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